恋色の紙ヒコーキ
今日は風がちょっと冷たくて少しだけ肌寒い。


「寒い?」

「ううん…大丈夫。」

「そう。
……ごめんね。はるに進路のことを何も言わなくて…。」

「ううん。
あたしが進路の話を避けてたの、知ってたから言わなかったってちゃんと分かってるから大丈夫だよ。」

「それも…少しはあるけど…
言えなかったのはそれだけが理由じゃなかったから。」

「え?」

「はると『離れる』ってことを、改めて言葉にするのが…嫌だったから。」

「…っ…。」

「…だけど結局いつ言ったって、はるにそういう顔させるのには変わりなかったんだよね。
だったらもっと早く言っていれば良かった。
今更…というか大事な時期に混乱させちゃってごめん。」


言葉が出てこない。
陽が悪いわけじゃない。本当にそう思ってる。
だけど…上手く笑えない。
じわっと涙が込み上げてくる。


「はる?」


そう言ってあたしの顔を覗き込もうとした陽を思わず突き飛ばした。

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