恋色の紙ヒコーキ
「え…?」


驚いた陽の顔が、涙で滲んでよく見えない。


「はる…。」

「ごめん…あたしっ…何やってんだろ…っ…。」


あたしはゴシゴシと目をこすった。
冷たい風が目に当たって痛い。


「…はるに…そんな顔をさせたことは謝るよ。
だけど…勝手なことだとは思ってるけど…それでも俺ははるに、いつもみたいに…
いつもの笑顔で『頑張って』って言ってほしかった。」


そう言って悲しそうに笑う陽が目に飛び込んでくる。
あたしは見ていられなくなって、屋上から逃げた。

たった一人…寒い空の下に陽を残したまま…。



* * *

「はるっ!?どうしたのそんなに走ってって…
はる…泣いてるの?」

「り…え…あたし…
最低だよ…っ…陽に…あんな…っか…顔…させ…させちゃった…っ…。」

「はる…。」


何だか急激に力が入らなくなって、あたしは梨絵にいつの間にか抱きとめられてた。
そして、溶けてしまうくらい泣いた。

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