恋色の紙ヒコーキ
* * *

「それで…?陽くんの進路をたまたま立ち聞きしちゃったわけね?
まさかの県外…プラスかなり遠方って…。
で最後にとどめの一言…
『いつもの笑顔で『頑張って』って言ってほしかった。』かぁ…。」

「…うん…。」

「それは…はるが悪い。
どうしようもないよ、はるがどうしたって悪い。はるが悪い悪い!!」

「悪いって何回も言わないでよーっ!!
あたしが悪いんだってことはあたしが一番良く分かってるもん…。」

「じゃあなんで素直に応援してあげられないの?」

「……離れるのが…やっぱり寂しいんだもん。」

「そう素直に言えばいいじゃない。」

「だって…言っても困らせるし…
それにそれは…あたしのワガママだし。」

「ワガママだって分かってるんじゃん。」

「分かってるよ。
だから苦しい…。」


自分のワガママだって分かってるから…
素直に応援してあげられない自分が最低だって分かってるから…
一番最低なのは、陽にあんなこと言わせて、あんな顔をさせたこと。

全部分かってるもん。

< 185 / 297 >

この作品をシェア

pagetop