恋色の紙ヒコーキ
久哉に言われなくてもちゃんと分かっていた。


『いつもの笑顔で『頑張って』って言ってほしかった。』


この言葉を口にしてしまった理由。

はるの一言で頑張れるって言うのもあるけど…
はるに分かってほしかったんだ。
離れても、俺の気持ちは変わらないってこと。

前にそういう約束をしていたのに、それを忘れたかのような不安を見せるはる。
そして、離れることの寂しさをぶつけてくるはるに…
気付いてほしかったんだ。

俺も同じなんだと。
だけど無理して頑張ってるんだって。

離れたくないよ、俺だって。
寂しいのは俺のほうかもしれない。
毎日会いたい。
毎日抱きしめたい。
でもそんな子どもじみたことばかりは言ってられない。
俺たちは大人になる。
一生子どものままではいられない。

だけど…
未来を…選ぶことはできるから…
君と歩く未来を選ぶために…
俺は離れることを選んだんだってこと。

それを…分かってもらいたかったんだ。



*陽side END*

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