恋色の紙ヒコーキ
「うん。これ首に巻いてなよ。あと手袋は一つ貸してあげるから、もう一つは俺のコートのポケットに手入れといて。温めるから。」

「へ?」

「いいから。」


そう言うと、あたしの左手に手袋をはめて、右手を自分のポケットに強引に入れる陽。
ポケットの中でぎゅっと手が繋がれる。


「俺の手、温かいでしょ?」

「うん…なんでこんな温かいの?」

「平熱はそんなに高くないんだけどなぁ…。」

「あ、陽って心冷たいんでしょ?
よく言わない?心が冷たい人って手が冷たいって…。」

「まぁ…確かに俺、心冷たいかもしれないな…
はる以外の人間に対しては。」

「へ?」


ちょ…冗談で言ったんだから本気にしないでよ…。


「というか、クラスのみんなが思っているみたいに心の広い人間じゃないってことは認めるよ。」

「そうなの!?」

「悪いところなんて普通にあるよ。」

「え?」

「あ、着いた。
久哉たち、どこにいるって?」

「あれー?ここで待ち合わせのはずなんだけどなぁ…。」

「はるーっ!!」

あたしは後ろを振り返った。

「梨絵っ!!」


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