恋色の紙ヒコーキ
*梨絵side*


「もーっ…見てらんないよ!!」

「同感…あいつら公衆の面前で何やってるわけ?」

「って言っても…誰も見てなんかないけどね…。」

「まぁそっか。」



はると陽くんのあまりのラブラブっぷりについていけなくなって、あたしは久哉の手を握って人ごみの中に入っていった。
それで丁度今、あんまり人のいないところにようやく出てくることができたところ。


「あっ!!ごめん…。」

「へ?何が…?」


あたしはパッと手を離した。


「なんで…ごめん?」


少し不機嫌そうな久哉の声が返ってきて、あたしの体はびくっとする。


「ってごめん…ビビらしてどーすんだよ俺…。」

「ち…っ違うの!!あたし…あの…ごめん…。」


上手く言葉にできない…
久哉と付き合って1年も経ったっていうのに…
あたしは手を繋ぐだけでもドキドキして…
そのドキドキに耐えられなくなって『手を離した』だなんて…言えない。


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