恋色の紙ヒコーキ
* * *


体育館での卒業式も無事終わり(と言ってもあたしの顔は大惨事)、あたしたちは教室に戻る。


「もー…せっかく我慢してたのにはるがそんなに泣いてるからつられるじゃないー!!」

「なによ、梨絵までめそめそしちゃって。
あたしはメイクが崩れるから泣かないわよ。」

「衣里香のいじっぱりー!!」

「うっ…ごめ…梨絵…っ…こ…んな…泣くつもりなんか…なく…って…
だって…よ…っ…陽が…っ。」

「俺が…何?」

「陽っ!!」

「あーあ…泣くとは思ってたけどこんなに泣くとはなぁ…
タオル使う?」

「使うーっ…!!」


涙で顔がぐちゃぐちゃのあたしの頭をポンポンと軽く撫でる。


「思う存分泣きな。ね?」

「う~っ…。」


「お前ら席につけー!!」

「うわ~んてらりんーっ!!」

「戸田…なんだその顔は…。」

「あたし、てらりんに名前呼ばれた時までは頑張ってた…じゃん!!」

「まぁな。とにかく席に着け。」



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