恋色の紙ヒコーキ
* * *

「やっぱり俺たちの場所はここだからさ。最後にここからの景色を見ておくのも悪くないなって思って。
でもまさか母さんがあんなこと言うとは思ってなかったけど。」


あたしたち二人が来たのは屋上。


「あんなこと?」

「俺がはると二人っきりになりたいって思ってることがバレてたなんて…ね。」

「っ…!!」

「はる、今日は本当に百面相だね。泣いたり笑ったり照れたり…大忙し。」

「そっ…それは…
っていうか卒業式は、卒業証書授与までは結構我慢してたのに…
陽の答辞でやられた…。」

「え?なんで…?」

「だって陽が大切な人との絆とかそういうこと言うから…
ますます寂しくなったんだもん…。」

「はる…。」


気がつくと、陽の腕の中にすっぽりと収まっていた。


「寂しい?」

「…がっ…我慢してるんだから…言わないで…。」

「我慢しなくていいよ。俺の前では。」

「あー…もう…いっ…言わ…ないで…
また…泣いちゃうから…。」

「泣けばいいよ。泣いて…いいよ。」

「う~っ…。」


あたしは陽の腕の中で泣いた。
もう溶けるんじゃないかってくらい泣いた。
あたしが泣いてる間中、ずっと優しく頭を撫でてくれた。


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