恋色の紙ヒコーキ
* * *

「はるー?」

「陽っ!?ちょっと待って!!まだ終わってないのっ…。」

「ああ、急かしに来たわけじゃないよ。
はるの部屋、久しぶりに来たいなって思ったから来ただけ。」

「あたしの部屋…?
ってごめん!!すっごい汚いよねっ…今片付ける…。」

「ううん。いいよいいよ。
はるは支度してていいから。」


はるの部屋に飾られている写真が目に入る。

懐かしいな…去年のキャンプの写真。
あの時、はるって俺の気持ちこれっぽっちも気付いてなかったんだっけ…?
花火のとき、なんか初めてはると恋愛絡みの話したんだよな…
で夜の肝試しのときに大雨で、森の中で迷子になったはるを探しに行って…
雷に怯えて泣いていたはるを思わず抱きしめた…

俺は支度をしている最中のはるを背中から抱きしめた。


「え?陽…?どうしたのっ…?」

「どうもしてないよ。
ただこうしたくなっただけ。ダメ?」

「ダメ…じゃないけど…。」


はるの香りがするこの部屋で、はるを抱きしめること…
それはこれからしばらくの間、そう簡単には出来ない。だから…


「陽…?」

「ってごめん。準備の邪魔だね。」

「ううん…大丈夫。」


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