恋色の紙ヒコーキ
あたしの少し上ずった声とうずくまっていた姿勢で泣いてることがバレたようで、陽は真っすぐあたしの所に向かってきた。

そしてあたしの体を抱きかかえる。


「陽…?」

「今日ははるを絶対離さないから。」

「え…?」


そう言うと陽はあたしを抱きかかえたまま、ベッドに座る。
そしてぎゅっと抱きしめてくれる。


「どうして…泣いてたの?」


心配そうな声であたしの顔を覗き込みながら聞いてくる。
その表情から本当にあたしのことを心配してるってことが伝わって来て、あたしは戸惑う。

だって…
本当のこと言って…いいの?
陽を困らせちゃうでしょ?
あたし…いつまで経っても役立たずだよ、迷惑かけてばっかり。
せめて最後くらい…彼女らしくしたかったのに。
でも上手く嘘さえつけない。
『あたしは大丈夫』って言えばいいのに言えない。

いつからあたしは…
こんなに泣き虫で弱い子になっちゃたんだろう…。


「はる?本当のことを言って?」


そう言いながら、あたしの唇に陽の人差し指が当たる。
その仕草に心臓がドキっと音を立てる。

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