恋色の紙ヒコーキ
「だけど?」

あたしは言葉の続きを促す。


「もし小林くんの話ってのが告白でも、俺、はるのこと渡す気ないから。」

「!!」

「はるが小林くんを好きになっちゃったときは仕方ないけど…
でも、たとえそうなっても諦める気ないし。」

「そうならないから!!絶対!!
あたしが好きなのは陽だけだもん!!」


しまった…!!
こんな恥ずかしいこと、こんな道端で堂々と言うんじゃなかった…!!
後悔してももう遅かった。
隣にいる陽が、優しく微笑む。


「俺もだよ。俺が好きなのは、今もこれからもはるだけ。
あ、着いた。」


なんかいつものことだけど、家がもっと遠かったらいいのになって思っちゃうときがある。

明日も会えるって分かってるけど、家に着いちゃったこの瞬間がたまらなく寂しい。
でも、それを陽に気付かれるのは恥ずかしくて死にそうだから、あたしはなるべく普段通りの声で言う。


「送ってくれてありがとね!!
また、明日。」

「はる。」

「え?」




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