恋色の紙ヒコーキ
お金を払って、お店を出る。
すると不意に右手が久哉に握られる。


「せめて手くらいは繋がせて。
少しはデート気分ってことで。」


あたしは照れながらも、ちょっとだけ頷いた。
絶対今顔赤いと思う…
こういうことでいちいちペースを乱される自分が時々無性にむず痒くなる。


学校にはすぐ着いた。
あたしははるに電話する。


「もしもしー?はる?」

「梨絵?」

「今どこにいるの?
まだ学校でしょ?」

「え?なんで分かったの?」

「なんとなくー。
で、どこにいるの?あたしも今学校に戻ってきたんだけど…。」

「そうなの!?デートは?」

「それどこじゃないような緊急事態が起きたんじゃないかと思って…
そうでしょ?」

「えっと…それは…。」

「とにかく、今玄関にいるから玄関に来て。
話はそれから。じゃーね!!」


あたしは一方的に電話を切った。


「やっぱ学校にいた?」

「うん。玄関に来るように言ったからすぐ来ると思うけど…。」


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