恋色の紙ヒコーキ
「っ…!!」


不意に離れる久哉の顔。

あたしはその距離に思わず顔が赤くなるのを感じる。


「梨絵、いっつも余裕そうだから時々こういうことして確かめたくなんだよな。」

「え?」

「こっちの話。
んじゃ、また明日ー。」


ひらひらとあたしに手を振る久哉。



なんか…ずるい!!
あたしばっかりドキドキさせられてるし…

余裕そう?
あたしそんな風に思われてたんだ…
全然自覚なかった…

でもホントは余裕なんてないのにな。

今の顔の赤さがその証拠。

あたし、全然余裕ないよ。
だから自分で分かるくらい顔が熱い。

あなたが唇で触れた額が一番熱を帯びてるの…



やっぱりあたし…
久哉には絶対敵わないんだろうなぁ…

あたしばっかり好きすぎるなんてそんなことは言わないけど…

あたしばっかりドキドキさせられる。
それだけは絶対ホント。


*梨絵side END*

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