恋色の紙ヒコーキ
「陽のそんな気持ちにも気付いてなかったの?
鈍感過ぎる彼女を持つと彼氏も大変ね。
あなた、いつも陽の言葉に守られてばかりなんでしょ?
自分が、何か陽の役に立ったことってある?」

「……。」


あたしは何も言い返せない。


「陽は優しいから、いつも自分のことは後回し。そうでしょ?
だから今回も来てほしかっただろうけど、あなたの邪魔にならないようにお互い頑張ろうなんて綺麗事を言った。
全てあなたのためよ?
あなたは陽の本当の気持ちに全く気付かず、その言葉を鵜呑みにして、『彼女としての役目』を全然果たそうとはしないの。」

「彼女としての役目…。」

「あなたは守られてばかり。
助けられてばかり。
つまり、迷惑をかけてばかりなの。
この前だってあなたが授業をサボったとき、探しに行かされたのは陽だわ。
本来なら授業を受けるべき時間なのに、あなたの怠惰な態度に付き合わされている。
違う?あたしの言葉に反論できる?」


答えは『ノー』。
あたしは無言で返す。


「あたしなら、陽の気持ちをすぐ理解してあげられるわ。
陽に迷惑をかけることもしない。
守られてばかりのあなたとは違うのよ。」


涙が零れ落ちそう…

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