恋色の紙ヒコーキ
あたしの足音だけが廊下に残る。
それが妙に耳に付く。


気がつくと、涙が零れ落ちていた。
涙って一度溢れてしまったらもう止められないものだって分かってる。
だから泣きたくなんかなかったのに…

たった一人で歩くいつもの道が、信じられないくらい寂しくて、その寂しさにも押し潰されそうになる。


玄関のドアを開ける。


「はる、遅いじゃない、梨絵ちゃん来て…
ってあんたその顔どうしたの?」

「秋姉には関係ない…。」


あたしは秋姉の言葉なんか聞かずに部屋へ直行する。




ガチャッ…


「はるっ!!部活お疲れ様!!
課題一緒にやろうって思って…
ってその顔…。」

「梨絵…なんでいるの…?」

「秋奈さんに聞かなかったの?
ってそれよりその顔!!目冷やさないと!!」


梨絵はタオル片手に洗面所に向かったらしい。


あたしはペタンと座りこむ。
力が全く入らない。

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