恋色の紙ヒコーキ
「はい、コレ目にあてとけば明日目腫れないで済むよ。」

冷たいタオルが手渡される。
あたしはそれを無言で受け取って、目にあてる。


「陽くんと喧嘩でもしたの?」

「違うよ…。」


あたしは少し上ずった声で答えた。


「じゃあなんでそんな顔で帰ってくるのよ。」

「梨絵…。」

「なに?」

「あたし…陽のそばにいちゃいけないのかもしれない…。」

「あー…そういうことね。また神城衣里香?」

「え?」

「今度は何て言われたのよ。」

「……。」

「何言われたのって聞いてるんだけど?」

「……神城衣里香の言ってたことは正しかったよ。
あたし、なんの反論も出来なかったもん。」

「え?」

「あたし…
陽に迷惑しかかけてなかったんだね。
陽の本当の気持ちにも気付けなかった…。」

「陽くんの本当の気持ち…?」



それ以上、あたしは言葉を続けることができなかった。
言葉にするのも辛い。

< 78 / 297 >

この作品をシェア

pagetop