恋色の紙ヒコーキ

守りたいのは

*陽side*


はるがいない退屈な一日が終わろうとしてる。
昨日から何の連絡もない。
たったそれだけのことなのに、なぜだかすごく心配になる。
今日、誰とも話をしてないかもしれない。
ただぼーっとはるのことだけを考えていた。


俺は思い立ったように席を離れる。


「笹川さん。ちょっといい?」

「うん…?どうしたの?」

「ちょっとここじゃまずいから、ついて来てくれる?」

「うん…。」



屋上。
ここなら誰にも聞かれることはない。


「あのさ、はるから何か連絡ない?」

「ない…けど…どうして?」

「昨日、はる、一人で帰っちゃったんだよ。
何かあったのかなって思って…。
それに今日も休みだし。」

「陽くんに何の連絡もないの?」

「いや、先に帰るっていうメールはあったんだけど…
それ以降、電話しても出ないし、メールしても返事がない。」

「そう…なんだ…。」

「笹川さんなら何か知ってるんじゃないかと思って。」

「えっ!?いやまぁ…
知ってるっちゃ知ってるんだけど…
それをあたしの口から言うのは…なぁ…。」

「え?それってどういう…。」

「笹川梨絵。あなたはそれ以上口を出さないで。」

「出たよ…神城衣里香…。」


心底嫌そうな顔で衣里香を見つめる笹川さん。
その顔で大体状況が飲みこめてくる。
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