恋色の紙ヒコーキ
* * *

俺ははるの家に急ぐ。
早く誤解を解きたい。

そして今すぐ…
抱きしめたい。



ピンポーン…


「は~い?」

「あ、五十嵐です。」

「あら、陽くん!!
待ってねー今開けるから!!」


ガチャッ…

「陽くんますますイケメンになったわね!!」

「あ…りがとうございます…秋奈さん。」

「はると喧嘩したんだって?」

「あ、いや…そういうわけじゃ…。」

「じゃ、陽くんを好きな他の女の子に攻撃でもされたかな?
昨日すっごい顔で帰ってきたからびっくりしちゃった。」

「すごい顔?」

「もーどんだけ泣くの?って感じ。
ボロボロだったわねー。
んじゃ、慰めてあげてね。」


そう言って俺にウインクすると、秋奈さんはリビングに戻っていった。

俺は深呼吸して、はるの部屋のドアをノックする。


コンコン…


「秋姉?」

「ううん。俺。」

「よ…う…?」


少しトーンの下がった声が返ってくる。


「入ってもいい?」

「…だめ!!
あたし、風邪ひいてるから…うつしたくない。」

「俺は構わない。」


俺は半ば強引にドアを開けた。


< 87 / 297 >

この作品をシェア

pagetop