恋色の紙ヒコーキ
「大したことあるでしょ。
バレバレなんだけど。」

「陽っ!?なんで…試合は…?」

「負けたから、間に合うかもって思って来たんだよ。
そしたら丁度はるが飛ばされちゃったとこで。」

「なんでそのタイミングで来るのよ!?」

「俺に言われても…
でも、かなり痛そうな顔してたし、フリースローのフォームもいつもと違ったし、投げ終わった後に顔歪んでたから相当痛いんだろうなって思ってて、いつ止めようかなとも思ったんだけど…
はるのことだから途中で止めても無駄でしょ?
だから黙って見てたんだよ。
終わったらすぐ処置しようと思ってね。」

「全然…気付かなかった…。」

「へ?なんか言った?小林くん?」

「い…いえっ!!なんでもないです。」

「んじゃ、はる。医務室行くよ?」

「えー…大丈夫だって…
あたし、シップの匂い嫌いなんだもん…。」

「んなこと言ってる場合じゃないだろ?
腫れてきてるんだし。少しだけだけど。」

「家帰って冷やす!!」

「だめだって。
家まで結構かかるし。
本当にはるは…仕方ないな。」



陽がそう言った瞬間にあたしの体がフワリと浮かぶ。

え…あたし、持ち上げられてる…?
ってお姫様だっこ!?

しかも周りにめっちゃ見られてる!!

ってそりゃそうか!!
だって陽の外見は目立つし…

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