詩集『One Love』
1.マリオ
1.マリオ

駅の自動改札のストッパーに足を挟まれた

もし俺がマリオだったなら小さくなっていただろう

だが俺はマリオじゃない

ただここで挟まっているだけの憐れな男さ

駅員がやって来て「大丈夫ですか?」と俺に聞いた

ほっといてくれ

いまは一人でいたいんだ

「ほっとけないよ・・・」

駅員は頬を染めてそう呟いた

「僕が外してあげるから早くお逃げ。もうこんな所へ来るんじゃないよ」

俺は何度も振り返り、駅員に向かって

「ミュー」と鳴いた


あらいぐまラスカル・おわり
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