バカなひと
そしてね。
考えるの。
あなたがあたしに想いを伝えたとき、
なんて返事をしようかしらってね?
授業にも身が入らなくなってしまったわ。
そしてね?
彼があたしの名前を呼んだの。
彼に逢うまでは嫌いだったこの名前も。
なんだか愛おしく感じるの。
あたしに近づいてくる彼は緊張しながら、でも嬉しそうな顔で。
どうしたの?
と尋ねれば。
お前にだけ言いたい事がある。
なんて言ってくれるから。
あたしは
いよいよ来たのね。
そう思って。
彼に微笑みかけたわ。
誰にもいうなよ。
とか
驚くなよ。
とか
勿体振らないでよ。
あたしの返す言葉はもう決まってるんだから。
そして、
彼が決心したかのように
口を開いたわ。
――俺っ!
彼女が出来たんだっ!――