レゾンデートル
私と差ほど変わらない歳であろう中学生二人は、背中合わせに座り、聴いたことのない邦楽を歌っている。
ジャカジャカと、アコギ特有の音を掻き鳴らしながら、力強く悲しげに歌う二人は、見るものを引き付けていた。
曲が終わると、辺りからは拍手の嵐。
二人も満足げな様子で顔を見合わせている。
二人のうちの一人はヒラヒラとしたワンピースを見に纏い、何だか場違いのような格好をしている。
もう片方はハーフパンツを履いているが、茶色いくせ毛にピン、それから顔立ちからして少女だろうか。
「すご…」
思わず感嘆の声が漏れる。
それが聞こえたのか、ハーフパンツの少女はこちらを向いた。
「あは、有難うございます」
にこりと笑う彼女は、下を向いていたときは暗くて分からなかったが、とても可愛い。
「あ、いや、えと」
思わず戸惑う私を見て、少女は更に笑う。
あぁ、なんか恥ずかしい。
「どうしたの?雛春」
私達の様子に気がついたのか、ワンピースの少女もこっちを向いた。
「んー?このおねーさんが気になっただけー」
にこにこしながら“おねーさん”と呼ばれて何だか気恥ずかしくなる。
この子モテるんだろうなーと思いながらワンピースの少女に軽くお辞儀をする。
「へぇ、綺麗な方。わたし、天原 優羽里(アマハラ ユウリ)と申します。貴方は?」
にこりと笑いながら名前を告げるこの子にも、何だか照れてしまう。
「泉士 桜。中3。よろしく」
端的に自己紹介をする。
怯えられたらどうしようとか考えながら、私はそっぽを向いた。
「あ、じゃあおれ達より1歳上だ!おれは朽木 雛春(クチキ スバル)!よろしくお願いします!」
ハーフパンツの少女が、にこにこと笑いながら自己紹介をしてきた。
って、ん?“おれ”?
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