レゾンデートル



「え、“おれ”って、え?」


まさか。


「え?おれ?男ですよ?」

「嘘だぁ!」


けろりと言ってのけた少女、じゃなくて少年に、思わず叫んでしまった。
男?こんなに可愛いのに?


「ふふ、良かったね雛春。女の子って思われたの何回目?」

「良くないよ。通算50回だし」


笑いながら言う少女、優羽里ちゃんと、膨れっ面になる少年、雛春くんはどこからどう見ても可愛い女の子同士だった。


「あの、桜さん?ですよね?」

「あ、うん」


不意に名前を呼ばれる。
声も顔も可愛いって特だよなぁと思いながら返事をする。


「桜さん、何か楽器してるんですか?」

「へ?なんで?」

「いえ、楽器に興味がおありの様でしたから…」


上目遣いで問う優羽里ちゃんは異常に可愛かった。
「ギターとベースとキーボードとドラムをかじってたけど」と告げると、優羽里ちゃんは手をポンと叩き、「まぁ!素敵!」と笑った。


「すごいですね!そんなに出来るんだぁ!」

「わたし達も見習わないとね」


顔を見合わせながら笑う二人は、本当に仲よさ気だった。

そこでふと優羽里ちゃんがこっちを向いて話をふってきた。


「あ、じゃあ桜さん、ギター弾いてみて下さいませんか?」


まじですか?





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