レゾンデートル
5 突入
「っつーわけで、その優羽里って子の家に来たわけだが」
「おっきいねーぇ」
私達が有言実行と言わんばかりにやって来た優羽里ちゃん宅は、私達の想像を遥かに超越した大きさだった。
「こんな豪邸が日本にあったのね」
「世界の天原財閥の本邸ですから」
とりあえず門の前に立ってはみたものの、端から端が見えないってどういうこと。
ていうかさっきから警備員のお兄さんにすごく見られてる。やばいどうしよう。
「まずいな…」
来琉が小声でぼそっと呟いた。
残りの私達3人は、来琉も入れて円になり、小声で会話を始める。
「ど、どうしたの?」
「まさか作戦がないとかですか?」
「いや、違う。もっと根本的なことだ」
やけに深刻そうに来琉は眉間にシワを寄せる。
そこに愛琉が手を挙げた。
「はい!オレ分かっちゃったかも」
「ほんとに?」
「ほんとほんと!来、オレが言いたい!」
「おう。言ってやれよ兄弟」
なんと言われた愛琉が、普通にしてればイケメンな顔で真顔になった。
「この家…」
全員が、ごくりと生唾を飲み込む。
「インターホンが見つからない!」
…は?
「だってね!仮に家のドアのところにあるとしたら、門を無断で入っちゃうよ!そんなの怖いじゃん!」
「そうだ。その通りだ愛琉」
うんうんと双子が頷く。
雛春くんはぽかんと目を丸くしている。
私はというと、さっきまでの会話が無意味であることに、今更後悔するのだった。
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