レゾンデートル
***
「はーぁい!出来たよ!」
荒々しくカップをカチャカチャとならしながら、少年は暖かい飲み物達を運んできた。
「ありがと」
そう言うと、少年は「どういたしましてー」と笑った。
少年のいれてくれたコーヒーを飲みながら、彼は私に目をやる。
偶然目が合ってしまい、私は思わず目を反らしてしまった。
それを知ってか知らずか、少年はソファーの私の隣に深々と腰掛けた。
「ねぇねぇ、君さ、名前なんて言うの?」
嬉々とした様子で私に問い掛けてくる少年に、少し怖じけづいてしまう。
「泉に武士の士、それから花の桜で、泉士桜、です」
丁寧に名乗ると、少年は「へぇー!綺麗な名前!」とまた笑った。
「あ、ちなみにオレは鳳愛琉!まだまだ若い中2ね!」
少年はニコニコとしながら名乗り、それから「愛琉って呼んでね」と続けた。
それを見た彼は「俺も自己紹介して良い?」と笑う。
「も、もちろん!」と必死になりながら言えば、彼はさらに目を細めて笑った。
「俺は鳳来琉。鳳凰堂の鳳と、来るに琉球の琉でらいるな。来琉って呼べば良いから。ちなみに俺も中2」
丁寧に名乗ってくれる彼に、少しときめく。
愛琉と来琉か…
二人とも、綺麗な名前。
「ちなみにオレらは双子ね。オレが弟なんだぁ」
嬉しそうに言われた言葉に驚いた。
双子!?
に、にてない…
「似てねぇだろ。よく言われる」
はは、と笑う来琉は、中2とは思えない落ち着き具合だった。
ていうか、こいつエスパーか。
.