レゾンデートル
「あ、そうだ!桜ちゃんって何歳?」
私に問い掛けるときの愛琉の顔は、なんだかとても楽しそうで、私は馬鹿みたいに単純に嬉しくなった。
「14歳。中2」
そう照れを隠すようにぶっきらぼうに言うと、愛琉と来琉は目を丸くした。
「何、お前中2だったのかよ」
「オレ高校生くらいに見えちゃったよー」
へぇーと素直に驚く来琉と、目を見開きながら感想を述べる愛琉の二人は、年相応の表情をしていた。
「桜さ、学校どこ?」
何食わぬ顔で私の名前を呼ばれ、胸が高鳴る。
だって、下の名前、呼び捨て!
かぁぁという効果音が聞こえてきそうなほど顔を真っ赤にしていると、来琉は不審がりながら私の顔を覗いてきた。
「?、どうしたんだよ」
「や、別に!学校だっけ?精華(セイカ)中だけど!」
吃りながらそう返すと、愛琉が「精中なの!?めっちゃ頭いいじゃん!」と叫んだ。正直助かった。
「へぇ、桜、頭いいんだ」
ふわりと笑いながら来琉に言われて、また顔が赤くなってしまう。
あぁもうやめてくれ!
そんな私に気付いたのか、愛琉は来琉に「らい、俺の部屋から携帯取ってきてよ」と言った。
もちろん来琉は「やだよ、自分で行けっつの」と返す。
「良いじゃん!オレ桜ちゃんと二人でお話したいんだから!」
あはは!と笑いながら言う愛琉に観念したのか、来琉は渋々2階に上がって行った。
それを確認してから、愛琉は私の方を向く。
「ね、桜ちゃん。もしかしてさ、来琉のこと好きなの?」
「はぁ!?ちが、ってか会ったばっかりだし!」
「そんなの関係ないよーぉ!ね、好きなの?」
なんだよ、男もこういう話に興味あるわけ?と言いたいけれど言えない私は、キラキラと目を輝かす愛琉に対して、首を縦に振った。
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