レゾンデートル

3 少年少女




中3の7月半ば、夏休みに入ったばかりの頃だった。


昼間は暑いにも関わらず人が溢れかえっていたので、少し涼しくなった夜に街をうろついた。

特に宛てもなく、ただただ歩いていると、少し大きめな公園に差し掛かった。
やることもないので中に入ると、並木の一つに人だかりができていた。


(何かあったのかな、?)


そう思って近づくと、ギターの音色と歌声が聴こえてきた。


(路上ライブ?それにしても上手いな…)


自分もギター、ベース、キーボード、ドラムはかじっていたから難しさは多少分かるが、聴こえてきた音色はとても綺麗なものだった。

気になった私は、人だかりの中へ足を運ぶ。

だんだんと鮮明に聴こえてきたギターの音は、二つあった。
歌声も二人分聴こえるし、恐らく二人で演奏しているのだろう。

やっとの思いで演奏する人間が見える所まで行き、人だかりの中心を覗く。


(どんな人だろう…大学生とか?)


期待に胸を膨らませながら見た先には、二人の中学生が座っていた。





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