Protect~守る~
「俺?」
当たり前だっつの。
あんた意外に誰いるんだよ…。
あたしは男の態度にイライラし始め、隣の席の椅子を蹴った。
男はビクっと肩を上げてあたしを見つめる。
『誰』
あたしは眉間に皺を寄せ、腕を組んで問いかけた。
少し怯えながら、あたしを見つめるその瞳。
何か…何かを感じた。
「俺は天笠(あまがさ)もも。女みたいだけど、男だから」
天笠もも。
今日女どもが騒いでいた名前だ。
今日カッコいい転入生がくるんだよとか。
見たけどかっこよかった!!とか。
ももくんっていうらしい!!とか。
とにかく、噂好きなクラスの女が口にした名前。