赤ずきんと狼
赤ずきん、狼と出会う
お使い放棄
今日、私は紅桜(べにざくら)高校に入学した。
地元では有名なバカ校。
中学時代の私の頭脳は、中の上、と言う中途半端な学力だったため、近場で制服が可愛い、ただそれだけの理由で、この学校に入学したのだった。
そして今、まだ着慣れていない新しい制服を身にまとい、教室で待っている。
ホントにバカ校と言うこともあり、柄が悪い。
まあ校則が緩い、これも一つの大きな原因だろう。
男子はシャツのボタンを胸まで開けているし、女子はほとんどの人が化粧をしている。
しかし私は化粧をしておらず、スカートの丈も膝上5cmのため、一人浮いている気がした。
……私、浮いてるかも…
残念なことに、浮いてる"かも"ではなく、浮いてるのだ。
みんな新しい友達を作ったり、席を離れて楽しく会話をしている。
しかし私は、窓側の1番後ろから二番目という中途半端な席で、黙って座っていた。
友達できるか不安だ〜…
とため息をついたと同時に、甲高い声が聞こえた。
「超カッコイイ〜!ねえ、名前なんて言うの?」
「やばくね〜?」
隣の席の男に群がる女子。
化粧は当たり前だし、スカートは短いし、ボタン開けすぎだし…谷間を見せるように話しかけている。
う、羨ましいっ!
思わず自分の胸を両手で隠した。
そして私がため息をついた時、小さな声が隣から聞こえた。
「ブス」
これが私が初めて聞いた、毒舌狼の第一声だった。