赤ずきんと狼
「すごい人気だなあ…」
ハァと小さく呟くと、後ろから花音ちゃんがつんつんと背中を突く。
私はくるりと回り、花音ちゃんを見ると、花音ちゃんは怪しさ満点な笑みを浮かべていた。
「なになに、嫉妬?」
「んな!嫉妬って…訳わかんないし!」
私がそう言うと、やれやれと言いながら花音ちゃんは私の肩に両手を置いた。
「っ……………な、なに?」
「…好きなんじゃないの?」
「だ、れが?」
「梨沙ちゃんが」
「だれを?」
「橘」
「………そんなわけあるかーーいっっっ!!」
私が大声で叫ぶと、教室中の全員の注目の的に。
し、視線が痛い……!
「す…すみません……」
私は顔を赤めながら、みんなに小さく謝ると、花音ちゃんの誤解をとこうと試みた。
「私が橘くんを好きになんてならない!」
「なんでよ?竜宮寺が好きなの?」
「違う!」
もちろん、0,1秒で断固否定。
私は花音ちゃんにきっぱり言った。