赤ずきんと狼
赤ずきん、狼と戦う

狼に染まる



キーンコーンカーンコーン


チャイムがなり、授業が始まった。

私たちはチャイムと同時に席に戻る。
だけど先生がいないため、教室内は相変わらず騒がしい。

授業開始のチャイムが鳴って、5分経った。
たいして変化もなく、先生も彼ら二人も来ていない。
どうやら二人は、本当にサボるようだ。

「…花音ちゃん、ホントにあの二人サボるのかな?」

「そうなんじゃない?私もサボろうかな〜?どうせ今から自己紹介かなんかでしょ?」

確かに、教科書は持ってきていないから、まともな授業ではないだろう。
だからきっと、やるとしたら自己紹介で…
だけど自己紹介って、とても大切なことだから…

真面目な私には、サボるということが、正直ありえないことだった。


「そろそろ先生来ちゃうんじゃないかな?」

「別に大丈夫っしょ!トイレ行くって言えば」

どうやら花音ちゃん、サボりの常習犯らしいです。
笑顔を見れば、誰だってわかる。
さらーと嘘を並べて、よくサボっているのだと。


「梨沙ちゃんは?」

「え…、わたしは……」

サボるとか、考えたこともなかった。
だってチャイムに鳴ったら席着いて、とりあえず座って右から左にぬけていく先生の話を、うとうとしながら夢の中で聞いていたのだ。
授業に出ないだなんて…

だけど少し憧れていた。
漫画とか小説とかで、屋上でサボっていたら、素敵な男性と恋に落ちる…
だなんていう出会い、一度経験してみたかった。


だけど…
という真面目な自分が邪魔をする。


うーんと悩んでいると、結局先生が帰ってきてしまった。




< 15 / 16 >

この作品をシェア

pagetop