赤ずきんと狼
赤ずきん、狼と戦う
狼に染まる
キーンコーンカーンコーン
チャイムがなり、授業が始まった。
私たちはチャイムと同時に席に戻る。
だけど先生がいないため、教室内は相変わらず騒がしい。
授業開始のチャイムが鳴って、5分経った。
たいして変化もなく、先生も彼ら二人も来ていない。
どうやら二人は、本当にサボるようだ。
「…花音ちゃん、ホントにあの二人サボるのかな?」
「そうなんじゃない?私もサボろうかな〜?どうせ今から自己紹介かなんかでしょ?」
確かに、教科書は持ってきていないから、まともな授業ではないだろう。
だからきっと、やるとしたら自己紹介で…
だけど自己紹介って、とても大切なことだから…
真面目な私には、サボるということが、正直ありえないことだった。
「そろそろ先生来ちゃうんじゃないかな?」
「別に大丈夫っしょ!トイレ行くって言えば」
どうやら花音ちゃん、サボりの常習犯らしいです。
笑顔を見れば、誰だってわかる。
さらーと嘘を並べて、よくサボっているのだと。
「梨沙ちゃんは?」
「え…、わたしは……」
サボるとか、考えたこともなかった。
だってチャイムに鳴ったら席着いて、とりあえず座って右から左にぬけていく先生の話を、うとうとしながら夢の中で聞いていたのだ。
授業に出ないだなんて…
だけど少し憧れていた。
漫画とか小説とかで、屋上でサボっていたら、素敵な男性と恋に落ちる…
だなんていう出会い、一度経験してみたかった。
だけど…
という真面目な自分が邪魔をする。
うーんと悩んでいると、結局先生が帰ってきてしまった。