赤ずきんと狼


私は小さな声で謝った。

その時、睨むようにギロリと見つめる彼の鋭い目に恐怖を覚えた。

そしてそれと同時に、確かにさっき女の子たちが、キャーキャー言っていたのがわかった。

彼はとても綺麗な顔をしていた。
切れ目ですーっとのびた鼻、薄い唇に長すぎず短すぎない調った茶色の髪。



「別に謝ることないよ〜!ねえねえ、キミなんて言うの?」

「え?あ、わわ…わたし?」

動揺と焦りで、声が裏返る。
そんな私を見て、もう一人の彼はケラケラ笑いながら、「うん」と答えた。

「…私は、一條 梨沙(いちじょう りさ)…です」

「へ〜!梨沙ちゃんか、よろしくね!僕は竜宮寺 雅(りゅうぐうじ みやび)だよ!で、こっちが橘 総悟(たちばな そうご)!」

「僕のことは雅って呼んで」と優しい笑みで自己紹介してくれた。

「っ、雅…テメェ勝手に俺の名前言うんじゃねェよ!」

橘くんは、雅くんに向かって怒鳴るが、雅くんは全く聞いていない。


「あーっ!僕の席、梨沙ちゃんの前じゃん!総くんとも近いし、ラッキー!」

そう言って、誰も座っていなかった私の前の席に座った。


「あっ、そうだ!ねえねえ、梨沙ちゃん!僕たちのお友達になってよ!」

突然、雅くんが叫んだ。






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