赤ずきんと狼
狼に囲まれる
チャイムが学校に響き渡り、授業開始の合図。
雅くんは後ろを向いて、私と橘くんに話しかけてくる。
橘くんは完全に無視、私は…苦笑。
「ねえ梨沙ちゃん、」
「りーさーちゃんっ」
「梨沙ちゃーん、」
雅くんは私の名前を連呼している。
私は目で橘くんに助けを求めてみるが、一度もこちらを見ることはなく、真っ直ぐ前を見ている。
「……梨沙ちゃん、無視しないでよ?虐めちゃうよ?」
「っ………」
雅くんはニヤリと笑い、その瞬間一度もこちらを見なかった橘くんがチラリとこちらを見た。
「バカじゃねェの?そういう反応するから遊ばれんだよ」
っ………
そんなこと言われても困る。
情景反射でしちゃうんだもん。
「…う、うるさい!」
私がそう叫んだとき、後ろからつんつんと背中を突かれた。