赤ずきんと狼
後ろを振り向くと、とても美人な女の子が、頬杖をついて笑顔で座っていた。
「梨沙ちゃん、だよね?私、柏木 花音(かしわぎ かのん)!花音って呼んで?」
「…花音ちゃん?」
「そうそう、仲良くしてね?」
花音ちゃんは笑顔が素敵な女の子だった。
ロングの金髪は、さらさらのストレートで、とっても綺麗。
「ねえねえ、私も会話に入れてよ!私も梨沙ちゃん虐めたいし!」
彼女は笑顔でそう言った。
………え?
私何か聞き間違えたかもしれない。
最近耳が遠いのかなと反省までしてみる。
うーん……
「今…なんて?」
私が聞き直すと、花音ちゃんはクスクス笑いながら言った。
「梨沙ちゃんってさ、ドMだよね」
…?
思わず花音ちゃんに背を向けた。
するとニヤリと笑う黒い影が二つ。
「へェ〜」
「楽しくなりそうじゃん」
…前を向いても横を向いても後ろを向いても、妖笑を浮かべた狼が赤ずきんを狙っていた。
ねえママ?
赤ずきんね、お家に帰れないと思う。
正に今、絶体絶命。
赤ずきんね、狼に囲まれちゃった。
だけど赤ずきん負けない。
ママ、私無事に帰るから待っててね?