今夜,君と…。
曖昧な関係のまま,別れたと思ってる俺は相変わらずナナセでいっぱいやった。


あのメールを返した後,ナナセから返事は来なかった。


まあ当たり障りないメールやったし特に気にしてへんけど…。

…ただ,次のメールを送るのに勇気が必要になってしまった。



仕事は相変わらずで,春を時々見掛けるけど連絡は全く取ってなかった。

ナナセを見かけることもなかった。



その日もいつも通り優介と客引きに出て,一服に行った。


新地にはドレス屋が多くて,店内はキラキラ虹色に輝いている。

あるドレス屋の手前で俺は足を止めた。


ドレスを眩しそうに見つめるナナセがおった。

相変わらず可愛くて,前と違ってストレートの髪が更に俺をドキドキさせた。
出勤前か休みなんか,ドレスは着てなくてGパンにTシャツで腰にポーチみたいなんを下げてた。


声をかけようと思った。

…思ったんやけど。

ドレスを見つめる横顔があんまり綺麗で声が出やんかった。


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