COURAGE
指定席
良かった、今日も空いてる!

私は、音を立てないようにそっといすを引いた。

学校の図書館の、大きな窓に一番近い席。

最近の私の指定席。

ここから見える風景が大好きだから。

学校の向こうに広がる森は、お気に入りの物語に出てくるのとそっくりなんだ。
指定席を決めてるのは、私だけじゃないの。

いつも私の少し斜めの席に座ってるあの人もそぅ

茶色い髪の毛にくせがあって、目が大きくてクリクリしてて、透き通るような白い肌でいつも難しそうな分厚い本を読んでいた。

最初は、(あっ、またいる)って思うくらいだった。

でも、毎日会ううちに仲間ができたみたいで嬉しくて放課後が待ち遠しくなったんだ。

いつのまにか、あの人を探してた。

姿が見えない日は、1人でガッカリした。

気がついたら……


好き


になってたんだ…
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