恋~れんごく~獄
-全く、馬鹿な奴らだ。生意気にも、どこかの大先生にでもなったつもりでそれぞれの絵画を別々に鑑賞して評価してやがるよ。
だがな、他の奴らの駄作は置いておくとして、この二人の絵画に関してだけ言えば、ばらばらに鑑賞するんじゃねえ、二枚一対として鑑賞するんだよ-


武浩は、あの例のノートを広げながら、二人の描いた絵画を見比べ始めた。
…この場所でノートを広げるのは如何なものかと思われるかもしれない。事実武浩は、このノートを返す事でさえ、配慮して図書館でと考えていたぐらいだ。
しかし、そんな武浩がなぜ、そこまで大胆になれたのか。それは、7月1日から数えて、少なくとも一週間近くは、美加華、奈津子、真の三名は、この教室に一切現れない事を武浩は日記の内容から知ったからであった。


*6月26日水曜日
確かに、この頃私は露骨に、姉さまの絵の制作中に、真さんにちょっかいを出して、姉さまの神経を逆撫でする様な事をしていた。
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