恋~れんごく~獄
しかし探した結果、武浩が求めていたギャンブル系雑誌が、どうやら取り扱いがない事を悟ると、ちっ、と舌打ちした。
仕方がないので、彼は早々に切り上げる事にした。
そして時間は17時56分、事件が起きた。


-ぱさっ-


図書館の出口付近まで来た武浩は、すぐ目の前にいた一人の女子学生が、扉を開け外へ出る際に、ある一冊のノートを鞄から落とすのを見た。
どうやら彼女は気付いていないらしく、そのまま図書館を後にした。
ちょっと君、と、武浩はそのノートを拾い上げ声をかけようとしたが、なぜかふと思い止まった。そして武浩は、何気なくそのノートを開いてみた。
…ノート一杯にびっしりと書き込まれた文章。文章の構成からして、それはどうやら日記らしかった。


-女の子の日記…-




その日の夜、大学寮に帰った武浩は、早速図書館から持ち帰った「本」を読んで見る事にした。
武浩は今になって、どきどきしていた。かつて無い体験に。一人の女の子の日常を垣間見ようとしている事に。そしてゆっくりとページが開かれる…
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