Coffee?
顔色もだいぶよくなったし。



「明日にはもう元気になってるかもね。」


「…このままでいいよ。」



海斗の顔が陰った。



「ねぇ。
もうそろそろ話して。」


「何を?」


「とぼけないで。」



海斗はあたしをチラッとみて、目をそらした。



「海斗。」


「…わかったよ。」



まだ微妙に潤んでいる目は、あたしを見ない。



静かな部屋に、水道から落ちる水の音が響いた。



「俺、また叔父さんと喧嘩してさ。」



しばらくして、ポツリと海斗が言った。



「医大に行けって、言われた。」


「うん。」


「逃げて、さ。」



ふーっと、長い息を吐き出す。



「大事なものとか、必要な荷物だけ持って、全国逃げ回ってた。」


「全国…?」



想像していたよりも遙かに壮大なスケールで、問題は起きていた。



「だから、携帯も解約してたんだ。
GPSで探知されたら、連れ戻されるから。」



ここで初めて、海斗はあたしをみた。





< 42 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop