Coffee?
「おい、由宇希がピンポンしろよ。」


「やだよ。
怖いよ。」


「何が怖いんだよ。」


「央こそ、何をためらって。」



いざ見つけると、緊張する。



あたし達はチャイムを鳴らす役目を押し付けあった。



「あんまりぐずぐずしてると、海斗に気づかれちゃうよ。」



あたしの言葉で、央は黙った。



「…今日は帰るか?」



ここまで来て、と言ったあたしを睨む。



「じゃあ、お前がピンポン。」


「改めて出直そうか。」



くるりと背を向けたとき、ガチャリとドアが開いた。



驚いて振り返ると、クスクスと笑っている海斗が出てきた。



「えっ…?」


「ゴメン、面白いから見てた。」



まだ引き笑いをしながら、海斗はあたし達を手招いた。



「ほら、入んなよ。」



手を口にあてて、「あー可笑し。」と呟く。



「見てたんだ。」



じろりと睨む。



「ゴメンって。
でも、チャイム鳴らすだけであんなに譲り合うなんてさ。」



また上戸に入ってしまった。



あたし達は呆れながら中に入った。



「海斗ってさ、ちょっとツボずれてね?」


「うん、あたしもそう思う。」





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