Coffee?
週末、あたしは海斗のアパートに行った。
チャイムを鳴らすと、中から足音が聞こえてすぐにドアが開いた。
「いらっしゃい。」
大きく開け放されたドアの中に入る。
「荷物は片付いた?」
「うん、昨日、由宇希が来るっていうから大急ぎで片付けた。」
「いいのに。
手伝う為に来たのに。」
「いいの。
俺のなんだから、俺がやる。」
はいはい。
あたしは先にリビングに入った。
「わぁ。」
THE 殺風景
まだなんの装飾もされていない部屋はかなり殺風景だった。
かろうじて、ソファーが茶色を添えている。
「テーブルも茶色、ソファーも茶色。
海斗、茶色好きなの?」
「うん、落ち着く色だろ?」
この床の色も気に入ってるんだ、と海斗が指した床板はたしかに深い茶色だった。
「テレビはもう映るの?」
「うん。
こないだ、繋いでもらった。」
「そっか。
じゃあ、もう本格的な家だね。」
央も呼ぶの?と訊くと、海斗は頷いた。