みどりの日
 ピグマリオナイズと呼ばれる現象は知っているし、樹化病の存在も噂だけであれば知っている。

 それでも、私のこの脚は、それらとは違うと一種の確信があった。

 皮膚だけじゃない。

 私の骨、神経までもが、どこか樹木のように、変化していったのだ。

 愛しい、そう、既にこの感情はわかってしまった。愛しい彼のことを想っていなければ、心までも、樹へとなってしまいそうな気がして、私はただ怖れた。
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