『その声でささやいて』キケンな教師と危ないカンケイ
「どうした?」
数回呼出し音が鳴った後、耳に届く低い声。
「まだ帰らないの?」
「あぁ。もう家ん中入ったのか?」
「うん。さっき見てた窓から先生の車、見下ろしてる」
「そうか。そこの明かりが点いたら帰る」
「ちょっと待って…」
暗がりの中、手探りでリモコンを見つけ明かりを点ける。
「見える?」
「あぁ、見えた。飯はちゃんと食えよ」
「うん。…また明日」
「あぁ。じゃぁな」
電話を切ると、勢い良く走り出した車。
淋しさも襲ってきたが、それ以上に幸せな気持ちが私を包んだ。