『その声でささやいて』キケンな教師と危ないカンケイ
完全に目覚めた私は、恐る恐るドアを細く開けた。
廊下の先。
リビングを見れば、明かりが漏れている。
足音を立てない様に、そっとリビングへ近づく。
ソファーに座る人物に声を掛けた。
「……お帰り…なさい」
「あら?誰だと思えば…起きてたの?欝陶しい」
ふんっと鼻を鳴らし、私の存在を否定するこの女(ひと)は…一応、血の繋がった母。
「ご…めん…なさい」
次第に下降していく視線。
「折角、あんたに会わない時間に来てるのに、これじゃ意味ないじゃない」
燻(くゆ)らせていた煙草を灰皿に押し付けた。
私はこの人が嫌い。
醜い感情しか浮かばなくなるこの時の私自身も嫌い。