『その声でささやいて』キケンな教師と危ないカンケイ
楽しい食事も終わりに近付き、デザートのケーキを大口で頬張った時だった。
コホンと一つ咳をした先生の顔が、急に真面目になった。
その所為で、一気に緊張感が増した私は居た堪れなくなる。
心音が一際大きくなった気がする。
「なぁ、吉沢…」
こ、これはもしや…
イヴだし…
「お前…何か悩み事でもあんのか?」
違った。
間違えた。
その事が何よりも恥ずかしい。
何気に期待しちゃったし。
それにしても…今、その話題は辛い。
「悩み事?そんなの無いよ。何もない」
努(つと)めて明るく振る舞う。