『その声でささやいて』キケンな教師と危ないカンケイ


「もう来てたのか。早かったな」

顔を上げると先生に見下ろされていた。

「おはようございます」

まだ傷の残る口からは、思ったよりも小さい声しか出ない。

「どうした?風邪でもひいたのか?」

「はい」

「お前、目悪かったか?それに腫れてねぇか?その目」

「昨日、徹夜で勉強していて寝不足なんです」

心配する先生に、嘘を吐いた。




出てくるのは真っ赤な嘘。

湧き上がるのは真っ黒な罪。




「そうか。それならいい。勉強すんぞ」

教室へ向かう先生に着いて行こうと立ち上がった。
その時、


「―――ッッッ!!」

全身に痛みが走った。

よろけそうになる体を、壁に手を着き必死に支えた。

< 46 / 376 >

この作品をシェア

pagetop