『その声でささやいて』キケンな教師と危ないカンケイ
「もう来てたのか。早かったな」
顔を上げると先生に見下ろされていた。
「おはようございます」
まだ傷の残る口からは、思ったよりも小さい声しか出ない。
「どうした?風邪でもひいたのか?」
「はい」
「お前、目悪かったか?それに腫れてねぇか?その目」
「昨日、徹夜で勉強していて寝不足なんです」
心配する先生に、嘘を吐いた。
出てくるのは真っ赤な嘘。
湧き上がるのは真っ黒な罪。
「そうか。それならいい。勉強すんぞ」
教室へ向かう先生に着いて行こうと立ち上がった。
その時、
「―――ッッッ!!」
全身に痛みが走った。
よろけそうになる体を、壁に手を着き必死に支えた。