君しかいらない
「ねえ真理子…知也が来たらあなたに話したい事があるの…」
真理子の瞳に少しだけ臆病な顔をした私が映る。
すると、私の手を優しく握り返した真理子が、どこか切なそうに
だけど優しく微笑んだ。
「大丈夫よお母さん。
…私、お母さんの事を愛しているから。」
優しい風が病室をすり抜けると
窓の向こうには眩しいくらい陽の光りが窓に降り注いでいる。
それは真理子を産んだ
あの日のように。
全てを明るく照らしていた。
END