君しかいらない

「お父さんのせいで…っ!!

あたしは…」


震える手の平を

知らずうちに見ていた。


「あたしは…この手で…」

「莉子…」



それ以上は言わなかった。

言えなかった。


言わなくても

あたしが何を言おうとしていたかは

お父さんには伝わっていたはずだ。






その日を境に

あたしと

お父さんの間には

深く暗い溝ができていた。



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