君しかいらない
「お父さんと真琴は…知也にとって、小さな頃から憧れて、待ち望んだ家族なんじゃない。」

「それは…そうだけど…それでも…」

「それでも…何?」



さっきまでの穏やかな海に波が立っていく。


潮風が頬に凍みて

心に突き刺さる痛みとシンクロしてく。



「義兄さんと真琴は…大切にしたい家族なのは間違いないけど…」

途端、弱々しくなった声が頼りなくて

ますます、あたしの苛立ちをエスカレートさせる。



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