女社長は12歳
「……で、でも。ほら? 学校あるし……」

「大丈夫じゃ。学校はいつも通りに行けばよい。仕事は社員がちゃんとやるから。きららは、いわばこの会社の象徴じゃ。いてくれるだけでいい。それにお前んとこの校長とワシはポン友じゃ。もうすでにこのことは話しておる。もちろんヤツも快く了承したわい」

――いつの間に……あたしの知らないとこで……

きららは眉をしかめた。

「そ……それにあたし、ミニバスがあるんだよ? 毎日放課後に練習があるんだから。会社なんて来てるヒマないよ。土日だって練習や試合があるんだから、ね? ……」

「かまわん。きららはたまーに顔を出し、適当に会議にいたらいい。さっきも言ったが会社の事は優秀な社員がたくさんおるから、すべてまかせればいい。きららは社長として、大船に乗ったつもりでデンとしていればよいんじゃ」

「でも……やっぱり社長なんて……」

きららは下を向き、途方に暮れた。

いくらなんでも、小学生の自分が社長なんて、無茶にもほどがある。

まったくの予期せぬ出来事に、頭がパニックになっていた。


――これは何かの夢だ。そうに違いない……

きららは、そう自分に言い聞かせるのが精いっぱいだった。
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